BankからBankingへ

iPhoneのような金融サービスという思い

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)では、すでにデジタルネイティブを対象にしたBankingサービス、iBankを提供しているということで、CEOの永吉さんにお話を伺いました。


「iPhoneのような金融サービスを創りたい!」という思いで議論を重ね、2016年にiBankマーケティングを設立。しかし、その裏には最初のチャレンジがありました。構想が固まり始めようとした途端、既存の会社のプロセスが律速段階になることが判明。そのため、ご自身でまず1万円で起業し、その間に会社の方のプロセスを進めるというアイデアでその難を切り抜けたということです。
社内・社外起業ではアイデアの良し悪しに注目がいきがちですが、既存ルールとの折り合いをつけながら進めるチェンジマネージメントがあってこそ、良いアイデアが生きます。大きな目的を実行していくためには、社内で進める方法を前向きに発明することが必要です。

デジタルネイティブの観察から生まれたiBankサービス

サービスの根幹となるのが「Wallet+」。デザイン思考から生まれました。デジタルネイティブ対象の新しい銀行サービスを考える時に、活用したのが観察手法。対象となる人をエスノグラフィー (じっくり観察)とインタビューでこのサービスの構想が浮かび上がりました。起点は、永吉さんの違和感、「なぜお金を封筒で管理するのだろう?」
それをしている本人は、何も不便を感じておらず、それが普通だと思っていました。でも、永吉さんたちには、もっと先に見えるサービスが頭の中に。それを共有して共に議論をする中で新しい価値が共創され、生まれたのがこのデジタル空間上の目的別仮想封筒です。
行動分析をいくらしても、未来を予測することは困難です。しかし、顧客自らが未来を創ることを支援するサービスを提供することによって、何をしたいのか明確に知ることができるようになった、というのがこのサービスの本質でしょう。得られた確率の高い未来の用途を活用して、クーポン、割引など新たなサービスとつながっていきます。現在では、iBankは複数の銀行のフロントエンドの銀行サービスとひろがってきました。

仲間を増やす

一方、これらのサービス創出のチャンスを増幅するためには、より一層のスケールアップが必要です。たとえ特許で抑えたとしても、現在FinTechには新しいアイデアが急激に生まれています。そのため、社内のデザイン思考教育や、他の銀行や関連する企業と協業し多くのデータから新しいサービスの示唆を得るためのデータ分析・解釈力を育てています。博多だけではなく東京にもコラボスペースがあるそうです。
顧客と提供者との価値共創の輪が、他の提供者との価値共創へと広がりエコシステムが形成されてきます。その起点は、永吉さんの思いと人間中心デザインで見出された新しい価値だったのです。

次は銀行本体

これから目指すのは、銀行サービスだけではなく、銀行そのものを0からつくる「みんなの銀行」現在銀行のDXも実施されています。その上で、iBankやみんなの銀行の未来の銀行サービスの構築が生きます。大学で法律を学んだその力で、複雑な日本の規制ルールを読み解き、必須のものだけに削ぎ落とし、世界に誇るデジタルBankを創って欲しいと思います。
3年前、ドイツの友人が日本に来た時に出会ったRevolut、カードを使うと一瞬でそのトランザクションがみれます。彼女いわく、カードの決済の取り消しもすぐ確認できるので、海外旅行での不安がなくなるということでした。Revolutは、2015年にUKで生まれたFinTech Startup、お金の管理、海外での引き出し、送金、カードの解除など瞬時にできて結果が確認できるデジタル世代に好まれる機能が満載です。少し前に日本に上陸というニュースを受け登録したのですが、残念ながら今も待ち状態です。



有象無象のFinTechサービス、いくつかはすでに使ったことがあるものも。海外送金のTransferWise、PayPal、次は本丸デジタルバンク、何が出てくるのかワクワクします。

図 新しい金融サービス(ref: https://www.businessinsider.com/fintech-ecosystem-report)