メディパル薬流通革命

規模を狙うビジネスにおいて1%の利益率は莫大なビジネスを生みます。薬通業界もそのような業界の一つです。

薬流通の変化

薬の流通は、物と情報の流通を担っています。以前病院に薬局があり、メーカーのMR(Medical Representatives)が薬の情報を医者に届けることで強い関係を築いていたのに対し、医薬品卸のMS(Marketing Specialist)は薬・価格・情報提供を行います。インターネットによる情報提供が進む中、MRの価値が見直されています。また、2009年のOECDの進言以来後発医薬品の割合が日本においても70%を超え(2018)、薬の低価格が進み医薬品流通自体もさらなる効率化が求められています。
その中で、メディパルグループは、Paltacで流通のノウハウを一般消耗品で鍛え、それを医薬品に導入して競争力を高めようとしています。単価が 数百円の消耗品では、数千円の薬とは厳しさが一入です。

図 薬流通の変化


医薬品物流の最前線

博多にあるALC(Area Logistics Center, https://www.medipal.co.jp/business/ethical/alc_flc/ )を見学しました。six sigmaの品質を実現するために、エラーの起こる場所、特に人手を介するところを無くし、自動化しています。奈良の大仏も収まる空間に薬の箱が並べられています。人手が必要なのは、最初の蓋の開封と、薬のピッキングです。それ以外の再度の検査等は減らし、一度画面に従い箱詰めした後は、箱を閉じ開けないことによって、精度を高めています。以下は、蓋を開かれた箱が並ぶ棚です。


医薬品流通の未来

薬価は値引きがなく自由度がありません。また、毎年公定価格は低く設定されます。しかしながら、再生医療の流通まで手がける医薬品専用流通業は、顧客からの信頼も高く、たとえ遠隔医療が一般的になり個々人に薬が届けられるようになっても、一般の宅配便とは差別化され信頼は揺らがないと思われます。
今後、薬のオンライン情報の充実によって、まだ手作業の薬のマスター情報の作成など、生産性をあげられる点があります。これまで、病院、薬局といった企業に対して最適な物流を提供してきていますが、今後は金融で進んでいるように「顧客情報の一元管理」つまり、患者一人一人に対して一段と良いサービスが求められます。患者の投薬情報のオンライン化などが進むことによって、複数の医療機関のサポートを受けている個々人にとっても、医薬品流通のサービスが提供される日がくるかもしれません。