サービス業の製造業化 株式会社良品計画

サービス業の製造業化:良品計画

企業の事例2つ目は、良品計画のお話を伺いました。株式会社 良品計画は、1980年12月 株式会社西友のプライベートブランド「無印良品」としてデビュー。その時には、家庭用品9品目/食品31品目でスタート。無印良品のコンセプトは「わけあって、安い。」素材の選択、工程の点検、包装の簡略化がその理由。このコンセプトの原点は、「モノしか見えないモノをつくる」こと。デビュー当時の食用油とお手洗いの洗浄液のボトルが同じであったと。モノ、中身で勝負だったのでしょう。

これまでの転機

1986年 海外生産調達
1989年 西友から「良品計画」独立「無印良品」の企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業
1991年 海外1号店 ロンドン支店

と発展し、特に99年には90年と比較して、売上高4.3倍、経常利益123番と急成長を遂げました。その成功要因として、1. 無印良品のコンセプト形成、2. 脱セゾン化の2つがあげられます。

「セゾンの常識は良品計画の非常識」

しかしながら、1999年をピークに業績が下降し、その要因として、以下の3点があげられます。
  1. ブランドがお世の中と合わなくなってきた 「分け合って安いのコンセプトの希薄化」
  2. 工夫しない、やり方を変えない 「無印はこれでいいんだ」
  3. 短期的な対策 「根腐れを起こしていることろに迷走状態」
独立してから、以下のようなこれまでと異なる価値観の店舗拡大がうまくいかずにつまづきます。本質的な原因は、良品計画が気づきたい風土が、無印が育った企業風土でなはなかったということ、つまり「セゾンの常識は良品計画の非常識」であったということです。

  • セゾンの特徴:文化と感性、個店経営、経験主義、企画中心、個人の力重視
  • 良品計画の特徴:科学的、チェーンオペレーション、見える化・マニュアル化、実行、組織力
ブランドは「わけあって、安い」から「”これがいい”、ではなく ”これでいい”」賢い低価格、豊かな低コスト、創造的な省略、究極のデザインへと変更。MUJIGRAMの確立。仕事のやり方の見える化の仕組みとして、全員参加型のマニュアル作りを定着させます。キャリアパス、昇進と連携し、絶えずチャレンジして変化していくことを促します。これらの仕組みを変えていくための委員会の一つである社長がリードする30%委員会は、2004-2006年に280回開かれました。

「良品」ビジョン

「良品」にはあらかじめ用意された正解はありません。しかし、自ら問いかければ、無限の可能性が見えてきます。

企業理念 
  • 良品価値の追求 「良品」の新たな価値と魅力を生活者の視点で探求し、提供していく。
  • 成長の良循環 「良品」の構成で透明な事業活動を通じ、グローバルな成長と発展に挑戦していく。
  • 裁量のパートナーシップ 仲間を尊重し、取引先との信頼を深め、「良品」の豊かな世界を広げていく。
行動基準
  1. カスタマー・レスポンスの徹底
  2. 地球大の発想と行動
  3. 地域コミュニティーと共に栄える
  4. 誠実で、しかも正直であれ
  5. すべてにコミュニケーションを
良品計画 (ref: http://ryohin-keikaku.jp/ir/philosophy/)

QAでは以下の議論がありました。
Q: 良品計画の事業の一つであるキャンプ場。なぜしているのか? A: キャンプ場は利益を優先しない無印の原点。
Q: 家の事業はなぜ始めたのか? A: 2000年に旅行、車、保険、などいろいろな方面を試した。その中から、スケルトン(長く使える箱である家)+in fill(暮らしの中に埋め込むグッズ)のコンセプトのもと家の事業を始めた。
Q: ディズニーストアーとの違いは? A: ディズニーストアーでは、誰が何をするのか、オペレーションがきっちりと決まっており、マニュアルを見ながら仕事をすることが考えにくいという質問に対し、良品計画では、10%の余白を残すという。10%の余白は、マニュアルで学んだり、新しいことに挑戦したりする、ための重要な時間。3Mモデル。
Q:  これからの変化は? A: ブランドの進化として、識別→信頼→意味(哲学・価値観)へと変化してきた。もともと合理的で尖ったPBというポジション。今もそれは変わっていない。
Q: 海外の運営の工夫は? A: MUJIGRAMは海外へ展開している。日本で2000ページ、英語378ページ、中国461ページ、韓国164ページなど。日本で改善のアイデアは年間2万件、これはやって当たり前。テーマを与えると色々出てくるということでした。